小売業などでは、発注はとても大切な業務の1つです、完全に自動化できることは目指すべきところですが、どうしても調整が必要になってきますし短期特売は自分で数量を決めることが求められます。
そんな時に、多く発注しすぎて倉庫がパンクしたり、少なく発注してしまい欠品するなんてことは誰もが経験することだと思います。
そこで今回は商品回転率と適正在庫の決め方についてしっかり理解して発注の精度を向上させる方法を解説していきます。
商品回転率から適正な在庫を算出する方法とは
それでは設定方法を説明していきます。
①必要な最低在庫の基準を設定しよう。
最低在庫を決めるには坪当たりの基準在庫を決める必要があります。
坪当たりの基準在庫を決めるには以下の公式に数字を当てはめる必要があります。
売場面積:100坪 × 1坪当たりの在庫基準:100,000円 = 最低在庫:10,000,000円
②基準となる在庫を設定しよう。
基準在庫を確定するには、基準となる商品回転率を決定しましょう。
年間の売上高を商品回転率で割って基準在庫を決めていきます。
年間売上高:150,000,000円 ÷ 商品回転率:10回転 = 基準在庫:15,000,000円
③最大在庫を設定しよう。
最低在庫を基準として、30%以上の数字を最大在庫として決定しましょう。
最低在庫:10,000,000円 × 増加基準:130% = 最大在庫:13,000,000円
④適正在庫を設定しよう。
最低在庫:10,000,000円
最大在庫:13,000,000円
基準在庫:15,000,000円
ここでは、様々なパターンで数字が出てくるケースがあります。
基本的に中間の数字を適正在庫に設定することをお勧めします。
今回は最大在庫が中間の数字になりましたが、基準在庫や最低在庫が中間の数字になるケースもあります。
その時によって適正在庫は変わるということです。
では、売上が下がった場合のケースを考えていきましょう。
売上が下がった際の適正在庫を設定しよう。
ここでは、先ほど説明した際の売上を150,000,000円→50,000,000円に減少した場合に適正在庫がどのように変化するか説明していきます。
基準在庫を変更させよう。
年間売上高:50,000,000円 ÷ 商品回転率:10回転 = 基準在庫:5,000,000円
この場合は、最低在庫を基準在庫が下回ることとなります。
この場合は、以下のような在庫バランスになります。
基準在庫:5,000,000円
最低在庫:10,000,000円
最大在庫:13,000,000円
上記の場合の適正在庫に関して、最低在庫である10,000,000円に変更する必要が出てくることを覚えておきましょう!
商品回転率は高すぎも低すぎもダメ!
商品回転率はよく高いと商品効率がいいと言われていますが、これは大きな間違いです。
商品回転率が12回の場合(ここではわかりやすく年間の月数で説明します)
- 一年間に12回店舗の在庫が入れ替わると言うことになります。
- 商品回転率は年間の売上÷平均在庫で求められるため。
- 12回転である場合は在庫一円で12円の売上であったと考えることもできます。
- 12回転していると言うことは12回転に耐えるだけの発注頻度と品出し業務を行なっていることになります。(ここがとても重要です)
商品回転率が高すぎる場合と低すぎる場合の問題とは何か?
商品回転率が高い | 商品回転率が低い |
発注頻度が増えるので作業効率が悪くなる | 資金の回転が悪くなる |
補充頻度が増えるので作業効率が悪くなる | 商品の鮮度が悪くなる |
バックルーム(倉庫)の在庫が多くなる | 在庫の維持費がかかる |
欠品する可能性が増加する | 新商品などが導入しにくくなる |
売場が常に乱れてメンテナンスに時間が取られる | 値下げや廃棄が発生しやルクなる |
大きな勘違いをする人が多くしかも上司も回転率が高くて資金の回転が良いと褒められるケースがあるので勘違いするケースがあります。
むしろ資金の回転が良いから褒められていると言うことは、資金繰りに悩まされている企業である可能性が高いので少し危機感を持った方が良いレベルです。
商品回転率は一定というのが重要です。作業効率が一番良い回転率を企業としてしっかりと決めて一定を維持する発注の技術と棚割りの構築をし続けることが一番大切で難しい技術です。
販売数量に合わせてフェイシング数を変化させよう。
商品回転率を一定にするには棚割りがもっとも重要となります。
これができていないバイヤーがほとんどです。
ですがこのコントロールができないバイヤーはバイヤーをやる資格がありませんので教育するかアシスタントからやり直させる必要があります。
では、ここでは商品回転率を10回転で一定にすることが決定された場合にどのようにフェイシング数を考えていく必要があるか説明していきます。
例えば商品ごとの回転率を改めて調べたとします。
以下の数字が現状の商品回転率です。10回転で一定には全然なっていないことがわかりますね。
商品名 | 年間販売数 | フェイシング | 奥行き | 最大在庫 | 商品回転率 |
A商品 | 100 | 2 | 10 | 20 | 5 |
B商品 | 200 | 1 | 10 | 10 | 20 |
C商品 | 300 | 3 | 10 | 30 | 10 |
D商品 | 100 | 1 | 10 | 10 | 10 |
E商品 | 200 | 3 | 10 | 30 | 6 |
F商品 | 300 | 2 | 10 | 20 | 15 |
これを、全て10回転に統一する必要があります。
これがとても時間がかかり大切な業務です。
この業務をしないで、大した意味のない、売場変更ばかり繰り返して忙しくなりあまり大きな成果も生み出せていないケースが多くあります。
では、適正にした場合にどのようになるか以下で確認してみましょう。
商品名 | 年間販売数 | フェイシング | 奥行き | 最大在庫 | 商品回転率 |
A商品 | 100 | 1 | 10 | 10 | 10 |
B商品 | 200 | 2 | 10 | 20 | 10 |
C商品 | 300 | 3 | 10 | 30 | 10 |
D商品 | 100 | 1 | 10 | 10 | 10 |
E商品 | 200 | 2 | 10 | 20 | 10 |
F商品 | 300 | 3 | 10 | 30 | 10 |
これで、全ての商品の回転率が10回転で一定にすることができましたね。
この業務が何よりも大切でこれができているバイヤーはしっかりと評価されるべきです。
※これだけが仕事であるわけではないのですが・・・
最後に
発注に関しては、自動化が進んでより精度は上昇していくことは間違い無いと思います。
ですが、棚割りのフェイシング数と棚割はしっかり考えて作成していかないと、商品の発注は適正に行われているのに、商品が売場に全て入らないでバックヤードに行ってしまうケースがあったり、適正な商品数しか入らないからスカスカに見えてしまうなど、起こってしまいますね。
発注の精度を上げるには、棚割りの商品回転率とフェイシング数の適正化が最も重要です。
では、最後まで読んでいただきありがとうございました。