・相乗積(マージンミックス)といった言葉をよく聞くけどいまいちよくわからない。
・なんとなく、相乗積は理解しているけど使い方や計算方法がわからない。
・相乗積はわかるけど、活用方法がわからず知っているだけでほとんど使ったことがないから実用的ではないと思っている。
そんな方の悩みを解決します。計算方法や実際の活用方法など、わかりやすく説明しますので是非読んで見てください。
相乗積とは
荒利ミックス(マージンミックス)といった言葉が使われている事があると思います。
そんな時、たぶん小売業に携わったばかりの方だと何それ?となると思います。
※少なくとも私は何それ?となりました。
計算式は以下になります。
売上構成比×荒利益率=相乗積です。
では、詳しく説明していきますので是非読んでみてください。
相乗積の使い方をわかりやすく解説します。
相乗積とは、簡単に説明するとカテゴリー毎にどのくらい稼いでいるかを表す数字になります。
相乗積が高ければそれだけ利益を多く生み出しているカテゴリーという事になります。
逆に少ないとあまり利益を生み出していないカテゴリーという事になります。
売上構成比が高いのに、荒利益率が低いと全体に及ぼす影響が大きいので店舗全体の荒利益率が低くなりますし、売上構成比が高いカテゴリーの荒利益率が高いと店舗全体の荒利益率は高くなる仕組みとなります。
ポイントとしては以下の3つです。
1.売上構成比が高い荒利率の低い商品の荒利率を上げる方法を考える。
2.売上構成比が低い荒利率の高い商品の売上構成比を上げる方法を考える。
3.全体的に売上を落とさずに荒利率を上げる方法を考える。
※価格政策で下一桁の数字が7円だったのを8円にするや原価交渉。荒利率がもともと高い商品の販促を打って売上を上げる等様々な試作を考えて実行してみると良いと思います。
相乗積は基本以下のような表を作成して考えていきます。
最初に説明した通り売上構成比×荒利益率で相乗積を出しています。
分類 | 売上構成比 | 荒利益率 | 相乗積 |
---|---|---|---|
医薬品 | 17% | 30% | 5.1 |
化粧品 | 20% | 25% | 5% |
日用品 | 23% | 20% | 4.6% |
食品 | 40% | 15% | 6% |
合計 | — | — | 20.7% |
上記の場合だと、荒利益の合計が相乗積の一番下にある20.7%になるということです。
カテゴリー毎に相乗積を出して足し算をした合計が店舗全体の荒利率になるイメージです。
表にすると、どこのカテゴリーの売上構成比を上げるべきか?
どこのカテゴリーの荒利率を上げるべきかがとても発見しやすくなるのがわかると思います。
ここでは、日用品が一番稼げてない事が一目でわかりますし、医薬品の売上構成比を上げればもっと荒利率が上がる事もすぐに理解できると思います。
次は、実際に変化させた時のイメージを説明していきます。
売上構成比や荒利率を変化させて相乗積をUPさせよう。
では荒利率はそのままで医薬品の売上構成比を3%上げて食品の構成比を3%下げる売り場の構成にしたとします。
例えばですが、食品のエンドを1本減らして医薬品のエンドを増やし事で上記のような3%の数字の変化が起きたとします!
医薬品の売上構成比が17%→20%。 食品の売上構成比が40%→37%。
そうすると以下のような荒利率に変化します。
分類 | 売上構成比 | 荒利益率 | 相乗積 |
---|---|---|---|
医薬品 | 20% | 30% | 6% |
化粧品 | 20% | 25% | 5% |
日用品 | 23% | 20% | 4.6% |
食品 | 37% | 15% | 5.55% |
合計 | — | — | 21.15% |
売上は変わらず荒利も変わらないが医薬品の売上構成比を3%上げる努力をしてその分食品の構成比を3%下げる取り組みをしたことで荒利率が0.45%上昇した事例になります。
荒利率が最初に説明した表では20.7%だったのに対して、21.15%になっていますね。
今回はわかりやすく大きな分類で例を出していますが、基本はもっと細かいカテゴリー等まで落とし込んで計算することが多いと思います。
相乗積とかマージンミックスなど難しい単語が飛び交ったときはこんなイメージの話をしているんだとまずは思ってもらえればOKかと思います。
注意したいのが、細かく見ていった時に全体のインパクトが少ないカテゴリーに力を入れて取り組むのではなくて、影響値がとても大きいカテゴリーをしっかり見つけて改善する事で全体の数値を改善する事が可能になります。これが選定のコツですね。
相乗積を活用した一番実績的な取り組みを紹介。
きっと、売場はもうすでに決まっているし今更変更なんかできない、エンド1本くらい多くしたくらいでは全体のインパクトなんか変わらない。
このように思うことが多いのではないでしょうか?
そんな時に一番効果があるのは、価格調査と価格の見直しです。
ここで、各店の価格調査をし自社が無駄に値段を下げている商品がないかをカテゴリー毎に徹底的に調査し値段が下がりすぎている商品は一番頻度が高くなっている価格まで修正していきましょう。
この時に注意が必要なのが、価格弾力性が高くないか?リピート率は高くないか?です。
万が一価格弾力性が高く圧倒的なリピート率を誇っている商品であればそれは店舗に来てくれる理由になっている可能性があるからです。
この場合は、他社より下がりすぎていないか?をチェックして20円値段をあげても他社と同様の価格ではあるが、10円程度の優位性は維持する必要性はあります。
上記のように、今一度全SKU数の価格戦略をしっかり見直して荒利の改善をする事でどのくらい相乗積が上がるのかシミュレーションして実施するのが大変なのですが、実行はできて効果は絶大です。
では、最後に練習問題を用意したのでぜひ解いてみてください。
相乗積の計算練習問題
以下の売上構成比と荒利率の場合の相乗積を求めてください。
分類 | 売上構成比 | 荒利益率 | 相乗積 |
医薬品 | 20% | 40% | |
化粧品 | 10% | 30% | |
日用品 | 30% | 20% | |
食品 | 40% | 10% | |
合計 | 100% | ー |
どうでしょうか?
簡単だと思いますが、実際に上記の表を見て自分自身で計算してみることで身につくと思いますので是非解いてみて下さい。
相乗積練習問題解答
分類 | 売上構成比 | 荒利益率 | 相乗積 |
医薬品 | 20% | 40% | 8% |
化粧品 | 10% | 30% | 3% |
日用品 | 30% | 20% | 6% |
食品 | 40% | 10% | 4% |
合計 | 100% | ー | 21% |
実際はこんなに綺麗な数字ではないと思います。
荒利率の目標を設定し、目標に対して1%上昇させなくてはいけなかった場合、荒利率の高い分類の売上構成比を上昇するか?荒利率の低い分類の荒利率を上昇させるか?など考える時に是非活用してみて下さい。
まとめ
相乗積は荒利をコントロールするのに一般的に使われている考え方になります。
相乗積に関しては、みなさん知らず知らずに考えていると思います。
上記の考えを感覚的に実施するだけでなく科学的に数字を分析をして狙ったところに着地させる事がとても重要な考え方です。
なんとなく、売上が上がりそうだからやってみよう!やなんとなく儲かりそうだからやってみようも時には必要な感覚ですが、数字的な根拠や分析をした上で行動に移さないとそれは、全てギャンブルです。
実行が遅くなるから時には感覚でも良いといった考え方は個人的には否定していて、1日、もしかしたら日頃から分析をしていれば半日かけれれば、根拠資料を作成する事ができると思います。
根拠的な分析を基に行動する事で終わった後に、どこが想定と違ったのか、想定通りだったのか判断できて次に活かせるようになります。
このスキルは、当然かと思われるかもしれませんが意外と小売業でしっかり備わっている人材は少ないと感じています。
大変ですが、ここをサボらずに実施する事がとても重要です!
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。